お酒を飲むと顔が赤くなりますか?
お酒を飲んだとき、次のような経験はありませんか?
- ビールコップ1杯程度の少量飲酒で顔が赤くなる
- 飲み始めた頃の1〜2年間、少し飲むだけで顔が赤くなっていた
これらに当てはまる方は、遺伝的にお酒に弱い体質の可能性があります。
この体質の方は、飲酒による不快な症状が出やすいだけでなく、咽頭癌や食道癌などのリスクが高いことがわかっています。
アルコールの分解とアセトアルデヒド
お酒を飲むと、体内で以下のようにアルコールが分解されます。
- アルコール(エタノール) → アセトアルデヒド
- アセトアルデヒド → 酢酸(体にとって無害)
この過程で発生するアセトアルデヒドは、顔が赤くなる原因物質であり、同時に頭痛、吐き気、眠気などの不快な症状を引き起こします。
また、この物質には発がん性があることも知られています。
アセトアルデヒドを無害な酢酸に分解する酵素が「ALDH2:アセトアルデヒド脱水素酵素」です。しかし、この酵素の働き(活性)には遺伝的な違いがあります。
ALDH2の働きと癌のリスク
ALDH2の活性により、次の3つのタイプに分類されます。
- 活性が強い人(お酒に強い):日本人の約40%
- 活性が弱い人(お酒に弱い):日本人の約50%
- 活性がほとんどない人(お酒が飲めない)日本人の約10%
活性が弱い人は、飲酒による健康リスクが高いことがわかっています。
同じ飲酒量でも、口腔癌や食道癌のリスクが、活性が強い人に比べて5〜6倍高いとされています。また、飲酒量が増えるほどリスクも上昇します。
一方、活性がほとんどない人は、そもそもお酒を飲むことが難しいため、飲酒による健康障害が少ないとされています。
冒頭の質問
- ビールコップ1杯程度の少量飲酒で顔が赤くなる
- 飲み始めた頃の1〜2年間、少し飲むだけで顔が赤くなっていた
のいずれかに当てはまる方は、ALDH2の活性が弱いもしくはない人の可能性が高いです。
飲酒による健康障害を減らすには
飲酒による健康障害を防ぐには、お酒を控えることが最も効果的です。ただし、断酒が難しい場合には、次のような工夫を取り入れてみましょう。
- 休肝日を作る:週に1〜2日はお酒を飲まない日を設ける
- お酒を薄める:濃いお酒を水やソーダで割る
- 飲む量を減らす:少量でも満足できる飲み方を心がける
- 禁煙する:喫煙は飲酒による健康障害のリスクをさらに高めるとされています。
また、咽頭癌や食道癌は、早期発見することにより、体への負担が少ない内視鏡治療で治癒を目指すことができます。
癌のリスクが高い方の特徴とは
次の特徴に当てはまる方は、咽頭癌や食道癌のリスクが高いとされています。
- 50歳以上の方
- 男性
- 飲酒で顔が赤くなる、または赤くなっていた方
- 濃いお酒をストレートで飲む習慣がある方
- 喫煙している方
- 熱い飲み物や食べ物を好む方
- 飲酒量が多い方(日本酒1合、ビール大瓶1本が目安)
これらの特徴に複数当てはまる方は、一度内視鏡検査を受けることをお勧めします。
検査を受けることで早期発見につながり、体への負担を減らす治療が可能になります。
健康を守るために
少しずつできることから始めて、健康的な飲み方を心がけましょう。
そして、定期的な健康診断や内視鏡検査を受けることで、自分の体を守り、安心して生活を続けていきましょう。