急な嘔吐と下痢…それってノロウイルスかも?
はじめに
「昨日まで元気だったのに、急に嘔吐と下痢…」
「家族全員が次々と体調を崩している…」
「食事は取れないし、水を飲むとすぐに吐いてしまう…」
こんな症状が急に現れたら、それは ノロウイルスによる感染性胃腸炎 かもしれません。
寒くなると、「急な嘔吐と下痢」という症状で受診される方が増えます。特に 保育園や学校に通うお子さん や 高齢の方 は感染しやすく、注意が必要です。
ノロウイルスは 感染力が非常に強い ため、一度発症すると家族や職場などで 一気に広がる こともあります。しかし、正しい予防法を知っておけば、感染のリスクを減らすことができます!
2025年3月現在、当院では胃腸炎症状で来院される方が増えております。
そこで、本記事では、ノロウイルスの 特徴・症状・感染経路・予防法・感染したときの対処法 について、できるだけ わかりやすく 解説します。いざという時に備えて、しっかりと知識を身につけておきましょう!
冬に流行するノロウイルスとは?
ノロウイルスは、冬季(11月~3月頃)に流行する感染性胃腸炎の原因となるウイルスのひとつで、「嘔吐」「下痢」「腹痛」 を引き起こします。感染力が非常に強く、少量のウイルスでも発症するため、家族や学校、職場などで集団感染を引き起こすことがあります。
ノロウイルスの主な症状
✅ 突然の嘔吐
✅ 水のような下痢
✅ 強い吐き気と腹痛
✅ 発熱(37~38℃程度の微熱)
✅ 倦怠感・食欲不振
通常、症状は1~3日で改善しますが、体力の弱い高齢者や乳幼児では重症化することもあります。
特に、脱水症状(口の渇き・尿が少ない・ぐったりしている)には注意が必要です。
ノロウイルスの感染経路は?どうやってうつるの?
ノロウイルスは とても感染力が強い ウイルスで、少量のウイルスでも簡単にうつってしまいます。特に冬場に流行しやすく、家族や職場、学校などで一気に広がることもあります。では、どのように感染するのでしょうか?
① 食べ物や水を通じた感染(経口感染)
➡ 汚染された食品や飲み物を口にすることで感染 します。
- 生牡蠣や二枚貝 を食べて感染することが多い(ウイルスが貝の中で増えるため)
- 感染者の手を介して汚染された食品 を食べることで感染することもあります。
② 人から人への感染(接触感染)
➡ 感染者の手を介してウイルスが広がる
- ノロウイルスに感染した人がトイレの後、手をしっかり洗わずにドアノブやスイッチを触ると、そこにウイルスが付着
- それを別の人が触り、手を介して口に入ることで感染
③ 嘔吐物や便からの感染(飛沫・塵埃感染)
➡ 嘔吐したときのウイルスが空気中に広がる
- ノロウイルスは、感染者の嘔吐物や便の中に大量に含まれています。
- 嘔吐したときに飛び散った小さなウイルスを吸い込んで感染 することがあります。
- 嘔吐物を適切に処理しないと、乾燥してウイルスがホコリと一緒に舞い上がり、それを吸い込んで感染することも。→ 塵埃(じんあい)感染
感染を防ぐためにできること
✅ 1. 手洗いが一番の予防策!
石けんを使って 30秒以上しっかり洗う ことが重要。
特に、
- トイレの後
- 食事前
- 調理前後
- 外出後
に手洗いを徹底しましょう。
✅ 2. 二枚貝はしっかり加熱!
ノロウイルスは 85℃以上で1分以上の加熱 で死滅します。生食は避け、加熱調理をしましょう。
✅ 3. 家庭での消毒は「次亜塩素酸ナトリウム(漂白剤)」が有効
アルコール消毒は ノロウイルスには効果が弱い ため、塩素系漂白剤を使った消毒がおすすめです。
消毒液の作り方:
🔹 嘔吐物や下痢の処理用 → 水1Lに対し、 塩素系漂白剤(6%次亜塩素酸ナトリウム)を 20mL(ペットボトルのキャップ約2-3杯分) 混ぜる。
🔹 ドアノブやトイレの消毒 → 水1Lに対し 5mL(キャップ1杯程度) 混ぜる。
✅ 4. 嘔吐物・下痢の処理は慎重に!
- 使い捨て手袋とマスクを着用
- キッチンペーパーで拭き取り (雑巾はNG!)
- 次亜塩素酸ナトリウムで消毒
- ビニール袋に入れてしっかり密閉し廃棄
✅ 5. トイレはしっかり流し、フタを閉めて!
ノロウイルスは トイレの水を流す時に飛び散る ため、必ず フタを閉めて流す ようにしましょう。
✅ 6. 体調不良の時は調理を控える
ノロウイルスに感染していると 症状が強くなくてもウイルスを排出 していることがあります。飲食店での集団感染を防ぐため、体調が悪い時は無理に調理をしないことが大切です。
もしノロウイルスに感染してしまったら?
💧 1. こまめな水分補給を!
- 経口補水液(OS-1)やスポーツドリンクを少しずつ飲む
- 嘔吐がひどい場合は無理に飲まず、少し時間をおいてから少量ずつ飲む
🍚 2. 消化に良い食事をとる
- 食欲がない時は無理に食べず、胃腸を休める。
- 食事は お粥・うどん・スープ などから再開
- 脂っこいものや刺激物、乳製品は避ける
🏥 3. 症状が重い場合は受診を
- ノロウイルスに特効薬はありません。
- 嘔気症状を和らげる薬や、脱水症状が強い場合は 点滴による水分補給 が有効
- 下痢止めはウイルスの排出を妨げるため、服用しないこと!
- 血便が出る、高熱が続く、脱水症状がある 場合は医療機関へ
まとめ:ノロウイルスから身を守るには?
☑ 手洗いの徹底! 石けんを使って30秒以上しっかり洗う
☑ 加熱調理をしっかり! 特に二枚貝は85℃以上で1分以上
☑ 消毒は次亜塩素酸ナトリウムを使う!
☑ 嘔吐・下痢の処理は慎重に! 飛び散り防止を徹底
☑ 感染したら水分補給をこまめに! 脱水症状に注意
ノロウイルスは毎年流行し、特に小さなお子さんや高齢者は重症化しやすいため 家庭での予防がとても大切です。正しい知識を持って、しっかり対策しましょう!