アニサキス症
アニサキス症について
アニサキス症は、寄生虫であるアニサキスが原因で引き起こされる感染症です。
アニサキスは主に海産魚やイカなどの内臓に寄生しており、生でこれらの魚介類を食べた際に人間の体内に侵入します。
アニサキスが胃や腸の壁に刺さることで、強い痛みや炎症を引き起こします。
日本では特に刺身や寿司、魚の一夜干しなどを生で食べる文化があるため、アニサキス症は他国に比べて発症頻度が高いとされています。
アニサキス症は非常に苦痛を伴うため、早期の診断と適切な治療が重要です。
ここでは、アニサキスの症状、原因、診断方法、治療法について詳しく説明します。
アニサキス症の症状と種類
アニサキス症の症状は、寄生虫が体内に侵入した場所や感染後の時間によって異なります。
主な症状は以下の通りです。
胃アニサキス症
アニサキス症の罹患部位として最も多いのは胃で、全体の90%以上を占めます。
アニサキスが胃に侵入すると、食後数時間以内に突然の激しい腹痛が発生します。
特に上腹部(みぞおちあたり)に痛みが集中し、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
腸アニサキス症
稀にアニサキスが小腸に侵入することがあり、その場合は食後数日以内に差し込むような腹痛が生じます。
また、腸閉塞に似た症状(腹部膨満感や便秘など)が現れることもあります。
アレルギー反応
アニサキスが体内に入ることで、蕁麻疹や稀にアナフィラキシーショックを引き起こすこともあります。
アニサキス症の診断方法
アニサキス症の診断には、以下の方法が一般的に用いられます。
問診
生魚の摂取歴、摂取時期を確認し、症状の発現タイミングや痛みの部位を詳しく聞き取ります。
内視鏡検査
胃アニサキス症が疑われる場合、胃カメラ(内視鏡)を使用して胃内を直接観察します。
内視鏡でアニサキスが確認されれば、その場で摘出することが可能です。
超音波検査やCT検査
腸アニサキス症が疑われる場合には、腹部の状態を確認するために超音波検査やCT検査を行います。
これにより、腸の炎症や腸閉塞の有無を確認します。
当院でも、胃アニサキス症が疑われた場合には、緊急の胃カメラ検査および処置に対応していますので、安心してご相談ください。
アニサキス症の治療法
アニサキス症の治療は、症状や寄生する部位によって異なりますが、主に以下の方法が有用です。
内視鏡的治療
胃アニサキス症では、内視鏡で直接アニサキスを確認し、その場で摘出することにより速やかに症状が改善します。
薬物療法
痛みが強い場合には、鎮痛剤や制吐剤が処方されることがあります。
ただし、薬物のみでアニサキスを完全に除去することは難しいため、内視鏡による治療が推奨されます。
予防方法
アニサキス症を予防するためには、魚介類を摂取する際に以下の点に注意することが重要です。
冷凍処理
アニサキスは-20℃で48時間以上冷凍することで死滅します。
冷凍された魚を使用することで、感染リスクを下げることができます。
加熱処理
アニサキスは60℃以上で数秒間加熱、または100℃で瞬時に死滅します。
魚を生で食べることを避け、加熱して摂取することが推奨されます。
酢の効果について
アニサキスは酸に耐性があり、「シメサバ」や「マリネ」のように食酢で処理しても死滅しないことがあるため、注意が必要です。
まとめ
アニサキス症は、日本の食文化において比較的発症頻度が高い寄生虫感染症です。
症状が現れた場合には、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
当院でも、胃アニサキス症が疑われた場合には緊急対応が可能ですので、安心してご来院ください。