大腸憩室
大腸憩室について
大腸憩室(だいちょうけいしつ)とは、大腸の壁にできる小さな袋状の突起のことを指し、大腸のどの部分にも発生する可能性があります。
憩室そのものは一般的に症状を引き起こさないため、無症状のまま過ごしている人も多いですが、炎症や出血を起こすことがあります。
日本では、食生活の変化に伴い、大腸憩室が増えてきているとされています。
ここでは、大腸憩室の症状、原因、合併症の種類、診断方法、治療法について詳しく説明します。
大腸憩室ができる原因
大腸憩室はいくつかの要因が関与していると考えられています。
食生活
低繊維食が主な原因とされています。
繊維の少ない食事は、便が硬くなりやすく、大腸に強い圧力がかかることで、憩室が形成されるリスクが高まります。
食生活の欧米化に伴い、繊維質の少ない食事が増えたことで、日本でも大腸憩室の発生率が上昇しています。
年齢
加齢もリスク要因の一つです。
年齢を重ねると、大腸の壁が弱くなり、憩室ができやすくなります。
50歳以上の人に多く見られる傾向があります。
生活習慣
運動不足や不規則な食生活も、憩室の形成に関連していると考えられています。
これらの要因が組み合わさることで、大腸憩室が形成されやすくなります。
大腸憩室の症状、合併症
大腸憩室そのものは無症状のことが多いですが、合併症が発生すると様々な症状が生じます。
以下に、主な合併症について説明します。
憩室炎
憩室に炎症や感染が起こる状態です。
腹痛や発熱などの症状を引き起こし、治療が必要になります。
特に症状が重い場合は、入院が必要となることもあります。
憩室出血
憩室からの出血が起こることがあります。
突然の血便として現れることが多いです。
自然に止血されることがほとんどですが、出血が続く場合は医療機関での処置が必要です。
これらの症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。
大腸憩室の診断方法
大腸憩室は、偶発的に診断されることが多いです。
以下のような検査で診断されます。
CT検査
CTスキャンで、大腸の詳細な画像を取得します。
特に憩室炎が疑われる場合や、合併症の有無を確認するために用いられます。
大腸内視鏡検査
内視鏡を使って直接大腸の内部を観察します。
憩室の位置や状態を詳細に確認できるため、最も確実な診断方法です。
ただし、憩室炎が重症の場合は、内視鏡検査を避けることがあります。
大腸憩室の治療法
大腸憩室の治療法は、症状や合併症の有無によって異なります。主な治療法は以下の通りです。
経過観察
無症状の大腸憩室の場合、特に治療は必要なく、定期的な経過観察が推奨されます。
食生活の改善や生活習慣の見直しが重要です。
食事療法
繊維質の多い食事を摂ることで、便を柔らかくし、憩室のさらなる発症を防ぐことができます。
野菜や果物などの摂取が推奨されます。
抗生物質の使用
憩室炎が発生した場合、抗生物質による治療が行われます。
軽度の場合は外来で治療できますが、重症の場合は入院が必要となることがあります。
手術
重篤な合併症(例えば、憩室炎が重症化し、穿孔や狭窄を来した場合など)には、手術が検討されます。
まとめ
大腸憩室は、多くの場合無症状であるため、健康診断などで偶然発見されることが多いです。
稀に、憩室炎や出血などの合併症を起こす場合があり、その際には治療が必要です。
症状がなくても、生活習慣を改善し、繊維質の多い食事を心がけることが大切です。