大腸がん
大腸癌について
大腸癌は、日本で最も多い癌の一つであり、特に中高年層に多く見られます。
生活習慣や食生活の影響することも多く、特に食事の欧米化に伴い、患者数が増加しています。
早期に発見されれば、治療によって完治が期待できますが、進行すると治療が難しくなることもあります。
そのため、生活習慣の改善による予防と、早期発見が非常に重要な病気です。
大腸癌の症状
大腸癌の症状は、癌の大きさや位置、進行度によって異なります。
初期には自覚症状がほとんどないことが多いですが、癌が進行すると以下のような症状が現れることがあります。
血便
便に鮮やかな赤い血が混ざる場合や、黒っぽいタール状の便になることがあります。
出血量が少ない場合は、目で見てわからないこともあるため、便潜血検査が役立ちます。
便秘や下痢
急に便秘や下痢になったり、便の形状が細くなるなど、通常とは異なる便通の変化が見られることがあります。
これは、癌によって便の通り道が狭くなるためです。
腹痛や腹部不快感
お腹に痛みや不快感を感じることがあります。
体重減少
特に食生活や運動量が変わっていないにもかかわらず、体重が減少することがあります。
貧血
貧血や癌による全身の影響で、疲れやすくなることがあります。
特に慢性的な出血がある場合、貧血により顔色が悪くなり、めまいや息切れなどの症状が現れることもあります。
これらの症状が現れた場合には、早めに医療機関を受診することが重要です。
大腸癌の原因
大腸癌のリスクは、生活習慣や遺伝的要因など、さまざまな要因が組み合わさることで高まります。
以下に、大腸癌のリスクを高めるとされる主な要因を詳しく説明します。
食生活
大腸癌のリスクに大きく影響する要因の一つが食生活です。
特に、動物性脂肪や赤肉(牛肉や豚肉)、加工肉(ハムやソーセージ)の摂取が多い人はリスクが高まるとされています。
一方、食物繊維が豊富な野菜や果物を摂ることで、大腸癌のリスクを抑えることができると考えられています。
肥満
特に内臓脂肪が多い肥満の人は、大腸癌のリスクが高くなります。
肥満は、体内でホルモンバランスの異常や炎症を引き起こしやすくなり、これが癌の発生につながると考えられています。
バランスの取れた食事と適度な運動による体重管理が重要です。
喫煙
タバコを吸う人は、大腸癌のリスクが高まります。
喫煙は、肺だけでなく、消化管にも悪影響を与えます。
長期間の喫煙者ほどリスクが高くなります。
飲酒
アルコールの過剰摂取も大腸癌のリスクを高めます。
特に毎日大量のアルコールを摂取している人は注意が必要です。
適量の飲酒に留めるか、できるだけ控えることがリスクを減らすために有効です。
家族歴
家族に大腸癌の患者がいる場合、遺伝的な要因によりリスクが高まります。
特に、両親や兄弟姉妹などの近親者に大腸癌の患者がいる場合、早めの検診を受けることが推奨されます。
慢性の腸疾患
潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性的な腸の炎症性疾患を持つ人も、大腸癌のリスクが高いとされています。
これらの疾患を持つ方は、定期的に検査を受けることが重要です。
年齢
大腸癌は、年齢とともにリスクが増加します。特に40歳以上の方は、定期的な検診が推奨されます。
加齢に伴い、大腸の細胞が変異を起こしやすくなるため、年齢とともにリスクが高まります。
これらの生活習慣の改善や定期的な検診が、予防と早期発見につながります。
大腸癌の診断方法
大腸癌の診断にはいくつかの検査が行われますが、確定診断には大腸カメラ検査が必要になります。
以下は、代表的な検査方法です。
便潜血検査
便に血液が混じっているかどうかを調べる検査です。
大腸癌のスクリーニングとして広く行われており、簡便かつ体への負担が少ない方法です。
便潜血検査で異常が見つかった場合には、速やかに大腸内視鏡検査を受けることが推奨されます。
大腸内視鏡検査
大腸癌の診断に最も有用な検査です。
内視鏡を用いて大腸の内部を直接観察し、癌やポリープの有無を確認します。
がんが疑われる部位が見つかった場合は、生検(組織を採取すること)を行い、組織検査で確定診断を行います。
早期癌もこの検査によって発見することができ、診断精度が非常に高い検査です。
CT検査
通常のCT検査では、大きな癌を発見することが可能ですが、早期の癌を見つけることには向いていません。
主に、癌が進行した場合や、他の臓器への転移の有無を確認するために使用されます。
血液検査
腫瘍マーカー(CEAやCA19-9など)の値を調べることで、大腸癌の可能性を評価します。
ただし、腫瘍マーカーだけでは診断はできないため、他の検査と併用します。
これらの検査を組み合わせて、最終的な診断が行われます。
大腸癌の治療法
大腸癌の治療法は、癌の進行度や患者さんの健康状態に応じて選択されます。
主な治療法は以下の通りです。
内視鏡治療
内視鏡治療は、早期大腸がんに対して行われる治療法です。
内視鏡(大腸カメラ)を用いて大腸の粘膜に発生した腫瘍を取り除きます。
癌がごく早期の段階の場合に適応されることが多く、体への負担が少ない治療法です。
手術
進行大腸がんに対しては、外科手術が基本的な治療法となります。
手術の範囲は、腫瘍の位置や広がりによって異なります。
化学療法(抗がん剤治療)
抗がん剤を使用して癌細胞を攻撃します。
手術前に腫瘍を縮小させたり、手術後に再発を防ぐために行われます。
また、進行大腸がんの場合、化学療法が主な治療法となることもあります。
放射線療法
特に直腸癌に対して、放射線を用いて癌を縮小させる治療法です。
手術前に行うことで、腫瘍を小さくし、手術をしやすくすることが目的です。
当院での検査と治療
当院では、大腸癌を早期に発見するため特にリスクが高い方には内視鏡検査を積極的にお勧めしています。
内視鏡専門医が、丁寧で細やかな配慮のもと、最新の内視鏡システムを使用して検査を行っています。
(検査に関しては、診療内容「大腸カメラ」のページをご参照ください。)
また大腸がんだけではなく、将来的に癌化する可能性があるポリープもその場で切除します。
まとめ
大腸癌は、早期に発見すれば完治が可能な病気ですが、進行すると治療が難しくなります。
予防のためには、生活習慣を見直すことが重要です。
大腸がんのリスクが高い方は定期的な検診を受けることをお勧めします。