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RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症とは

RSウイルス感染症は、呼吸器に感染するウイルスによって引き起こされる疾患です。通常は自然に治癒しますが、特に小児や高齢者、または喘息、心不全、糖尿病、慢性腎不全などの基礎疾患を持つ方は、気管支炎や肺炎といった深刻な症状に発展することがあります。毎年冬季を中心に流行し、感染力が強く、免疫力が低下している成人や高齢者で重症化しやすいのが特徴です。日本では毎年60歳以上の成人でRSウイルス感染症によって63,000人の入院と4,500人の院内死亡が推定されています。

RSウイルス感染症の症状

成人がRSウイルスに感染した場合、初期症状は風邪に似ていることが多く、以下のような症状が見られます。

  • 発熱: 軽度から中度の発熱が数日続くことがあります。
  • : 長引く咳が特徴で、乾いた咳や痰が絡むことがあります。
  • 鼻水や鼻づまり: 風邪と似た症状で、鼻水や鼻づまりが続くことがあります。
  • 呼吸困難: 重症化すると、呼吸が苦しくなることがあり、喘鳴(ヒューヒューといった呼吸音)や息切れが見られることもあります。

特に、高齢者や喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、糖尿病、心不全などの基礎疾患を持つ方は、RSウイルス感染症によって症状が悪化し、肺炎や基礎疾患の増悪が見られることがあります。

RSウイルス感染症の原因

RSウイルスは、飛沫感染接触感染によって広がります。感染者が咳やくしゃみをすることでウイルスが空中に飛び散り、それを他の人が吸い込むことで感染が成立します。また、ウイルスが付着した物や手から、口や鼻、目に触れることで感染が拡大します。特に冬の季節に流行しやすく、集団生活や密集した場所での接触が増えると感染リスクが高まります。

RSウイルス感染症の治療法

RSウイルス感染症には特効薬がありません。そのため、主に症状を和らげるための対症療法が中心となります。具体的な治療法は次の通りです。

  • 解熱剤や鎮痛剤を使用して、発熱や体の痛みを和らげる。
  • 十分な水分補給安静が重要です。
  • 重症化した場合は、入院治療が必要となり。酸素吸入や抗生剤が使用されることがあります。

予防の重要性

RSウイルス感染症には特効薬がないため、予防が非常に重要です。一般的な感染症対策として、手洗い、マスクの着用、そして人混みを避けることが基本的な予防策として有効です。さらに、ワクチンの接種が非常に効果的な手段として注目されています。

RSウイルス感染症のワクチン 「アレックスビー」

アレックスビーは、グラクソ・スミスクライン社が開発したRSウイルスワクチンで、2023年9月に日本で承認されました。60歳以上の高齢者や基礎疾患を持つ方に対する感染予防に特に効果的です。臨床試験において、アレックスビーは82.6%の予防効果を示し、RSウイルス感染症の重症化を防ぐことが確認されています。

ワクチンの利点

  • 一度の接種で、シーズンを通してRSウイルスに対する免疫が得られる。
  • 気管支炎や肺炎といった重篤な呼吸器疾患を予防。

副反応

アレックスビー接種後に報告された主な副反応には、以下のようなものがあります。

  • 注射部位の反応: 痛み、腫れ、発赤がよく見られます。
  • 全身症状: 疲労感、頭痛、筋肉痛などが報告されています。

これらの副反応は、通常軽度-中等度であり、数日以内に自然に改善することが多いです。ごく稀に重篤なアレルギー反応(アナフィラキシーショック)が出現する可能性があります。副反応が強く出た場合や長引く場合は、医師に相談することをお勧めします。

接種の推奨

アレックスビーは、以下のような方に特に推奨されます。

60歳以上の方で

喘息やCOPDなどの呼吸器疾患を持っている方。 

不全や糖尿病などの基礎疾患を持っている方。

予防接種によって、RSウイルス感染症の発症や重症化を防ぐことができるため、重症化リスクが高い方は、接種することが推奨されます。

RSウイルス感染症は、高齢者や基礎疾患を持つ成人において深刻な呼吸器疾患を引き起こす可能性があるため、早期の予防対策が非常に重要です。特効薬が存在しないため、ワクチン接種を含む予防策が感染防止の鍵となります。

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