嘔気
嘔気、嘔吐について
嘔気(おうき)とは、吐き気のことで、胃の不快感やムカムカとした感覚が特徴です。
嘔吐(おうと)は、実際に胃の内容物を口から吐き出す状態を指します。
嘔気や嘔吐は、体の防御反応の一つであり、消化器系の問題に限らず、様々な原因で引き起こされます。
一般的に一時的な嘔気や嘔吐は軽度で、適切な対処をすれば回復することが多いですが、長引く場合や他の症状を伴う場合は、重大な病気が原因である可能性もあるため、早めの診断と治療が重要です。
ここでは、嘔気や嘔吐の原因、関連する病気、有用な検査、そして処置や治療法について詳しく説明します。
嘔気・嘔吐の原因
嘔気や嘔吐は、様々な臓器の異常や病気によって引き起こされます。
以下に、各臓器や系統別に原因を紹介します。
1. 消化器疾患による嘔気・嘔吐
消化器系の異常は、嘔気や嘔吐の最も一般的な原因です。
胃腸炎
ウイルスや細菌による感染で胃や腸に炎症が起こり、嘔気や嘔吐、下痢が生じます。ノロウイルスやロタウイルス、食中毒が代表的です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜が傷つき、嘔気や嘔吐、胃痛を伴います。
特に食後に症状が強くなることがあります。
腸閉塞
腸が詰まり、腸内の内容物が通過できなくなることで腸内圧が上がり、嘔気や嘔吐が引き起こされます。
腹痛や便秘を伴うことが多く、緊急対応が必要です。
胆石症
胆嚢や胆管に石が詰まり、胆汁の流れが阻害されることで嘔気や嘔吐が発生します。
特に脂肪分の多い食事の後に症状が悪化します。
2. 耳鼻科疾患による嘔気・嘔吐
耳の異常や平衡感覚の乱れも嘔気や嘔吐の原因になります。
メニエール病
内耳の異常により、めまい、耳鳴り、難聴とともに嘔気や嘔吐が現れます。
平衡感覚の乱れが特徴です。
前庭神経炎
内耳の神経が炎症を起こし、突然の強いめまいと嘔気、嘔吐を伴います。
BPPV(良性発作性頭位めまい症)
頭の動きに伴い、突然のめまいとともに嘔気や嘔吐が発生します。
耳石が平衡感覚を乱すことが原因です。
3. 脳疾患による嘔気・嘔吐
脳の圧力の変化や血流異常が原因で嘔気や嘔吐が発生することがあります。
脳腫瘍
脳内に腫瘍ができると脳圧が上昇し、嘔気や嘔吐が引き起こされます。
脳出血や脳梗塞
脳内の出血や血流の障害によって脳圧が上がり、嘔気や嘔吐が生じることがあります。
クモ膜下出血では突然の激しい頭痛を伴い、緊急対応が必要です。
片頭痛
血管の拡張による強い頭痛に加え、嘔気や嘔吐を伴うことが多いです。
4. 心臓・血管疾患による嘔気・嘔吐
心臓や血管の異常も嘔気や嘔吐を引き起こす原因となります。
心筋梗塞
心臓の血流が途絶えることで、胸痛や息切れに加え、嘔気や嘔吐が生じます。
冷や汗や胸の締め付け感を伴うことが多く、緊急対応が必要です。
大動脈解離
大動脈の内壁が裂け、強い胸痛や背中の痛みに加え嘔気や嘔吐が起こることがあります。
これも迅速な治療が必要です。
5. 内分泌疾患による嘔気・嘔吐
ホルモンの異常や代謝障害も嘔気・嘔吐を引き起こします。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで代謝が亢進し、嘔気や嘔吐が現れます。
動悸や体重減少、発汗なども伴うことがあります。
有用な検査
嘔気・嘔吐の原因を特定するために、以下の検査が有効です。
血液検査
感染症や貧血、電解質異常、甲状腺機能、肝機能や腎機能の状態を確認します。
嘔吐による脱水や電解質バランスの乱れを評価するために重要です。
腹部超音波検査
胃腸や胆嚢、腎臓などの臓器に異常がないかを確認します。
腸閉塞や胆石、腫瘍の有無を調べます。
CT・MRI検査
頭部や腹部の異常を評価するためにCTやMRIで詳細な画像を撮影します。
脳腫瘍や脳出血、腹部腫瘍の評価に役立ちます。
内視鏡検査
胃や食道の状態を直接観察し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、食道炎の有無を確認します。
まとめ
嘔気や嘔吐は一時的なものから、重大な病気の兆候である場合まで様々です。
長引く嘔吐や、激しい頭痛、腹痛、発熱、体重減少などの症状を伴う場合は、早めに医療機関を受診し、適切な検査を受けることが重要です。
適切な治療を行い、健康を維持しましょう。