バレット食道
バレット食道とは?
通常、食道の内側は丈夫で平らな細胞(扁平上皮細胞)で覆われています。
この細胞が胃や腸にあるような細胞(円柱上皮細胞)に置き換わってしまう状態をバレット食道と呼びます。
バレット食道は、長期間にわたって胃酸が食道に逆流する「逆流性食道炎」によって引き起こされることが多いです。
バレット食道から食道がん(特に腺がん)が発生するリスクがあるため、早期に診断し、適切な経過観察を行うことが重要です。
ここでは、バレット食道の症状、原因、分類、診断方法、治療法について詳しく説明します。
バレット食道の症状
バレット食道自体には特有の症状はありませんが、逆流性食道炎に関連する症状が見られることが多いです。
バレット食道の原因
バレット食道の主な原因は、長期間にわたる胃酸の逆流です。
胃酸が食道に逆流することで、食道の粘膜が傷つき、通常の細胞がダメージを受けます。ダメージを受けた細胞が修復される過程で、胃や腸のような細胞に置き換わることでバレット食道が発生します。
この状態では酸への耐性が強くなりますが、同時に食道がん(特に腺がん)のリスクが高まります。
バレット食道の分類
バレット食道は、その病変の範囲によって、以下の2つに分類されます。
LSBE(Long-Segment Barrett's Esophagus)
LSBEは、バレット食道が食道の長い範囲にわたって存在する場合を指します。
具体的には、食道の下部から3cm以上にわたって、通常の粘膜が円柱上皮細胞に置き換わっている状態です。
LSBEは、SSBEに比べてがんのリスクが高いとされているため、より定期的な観察が必要です。
SSBE(Short-Segment Barrett's Esophagus)
SSBEは、バレット食道が食道の短い範囲(3cm以下)に限られている場合を指します。
LSBEに比べて食道がんのリスクは低いとされています。
バレット食道の診断方法
バレット食道の診断は、内視鏡検査によって行われます。
内視鏡検査では、食道の粘膜を直接観察し、バレット食道特有の変化を確認します。
その際、バレット食道にがんを疑う部位が認められた場合は、組織を採取し、病理検査を行います。
早期発見が重要であるため、逆流性食道炎の症状が続いている場合や、バレット食道のリスクが高いと考えられる人には、定期的な内視鏡検査が推奨されます。
バレット食道の治療法
バレット食道を治癒させる治療法はなく、進展を防ぐための治療が中心となります。
進展を防ぐための治療は、主に逆流性食道炎の治療となります。
以下は、一般的な治療方法です。
薬物療法
胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーを使用することで、胃酸の逆流を抑え、食道へのダメージを軽減します。
これにより、バレット食道の進行を防ぐことができます。
生活習慣の改善
食生活の改善や体重管理、禁煙、アルコールの制限など、生活習慣の見直しが重要です。
特に、就寝前の飲食や脂肪分の多い食事を避けることが推奨されます。
まとめ
バレット食道は、胃酸の逆流によって引き起こされる疾患です。
特にその範囲が広いLSBEは発がんリスクが高く、早期発見と適切な経過観察が重要です。
胸やけや呑酸などの症状が長期間続く場合や、リスク要因を持つ方は、定期的な内視鏡検査を受けることをお勧めします。