肝機能障害
肝機能障害について
肝臓は、体内でエネルギーの代謝、毒素の解毒、胆汁の生成など、多くの重要な役割を担っています。
健康診断で「肝機能障害」と指摘された場合、肝臓が何らかの原因でダメージを受けているか、その機能が低下している状態を示しています。
肝機能障害は、肝臓に負担がかかる生活習慣や疾患によって引き起こされますが、特にアルコールの過剰摂取や脂肪肝が主な原因です。
肝機能障害が進行すると、肝硬変や肝臓癌など深刻な病気に発展する可能性があるため、早期の診断と対策が非常に重要です。
ここでは、肝機能障害の症状、原因・疾患、および検査について詳しく説明します。
肝機能障害の症状について
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、肝機能障害の初期には自覚症状はほぼありませんが、肝機能が大きく低下すると以下の症状が現れることがあります。
倦怠感や疲労感
肝臓の働きが低下すると、体内でエネルギーを効率よく作れなくなり、慢性的な疲労を感じやすくなります。
黄疸(おうだん)
肝臓がビリルビンを処理できなくなると、皮膚や目の白い部分が黄色くなる黄疸の症状が現れます。
腹部膨満感や腹水
肝機能が低下すると、腹部に液体がたまり、お腹が張る感覚や膨らみを感じることがあります。
食欲不振や体重減少
食欲が低下し、原因不明の体重減少が見られることがあります。
むくみ
手足がむくむことがあります。
これは、肝臓が血液中のタンパク質を十分に生成できなくなるためです。
肝機能障害の原因、疾患について
肝機能障害の主な原因は、生活習慣に関連するものが多いです。
特に以下のような要因がよく見られます。
アルコールの過剰摂取
長期間にわたり過剰にアルコールを摂取すると、肝臓がダメージを受け、肝機能障害が現れます。
脂肪肝
肝臓に脂肪が過剰に蓄積する状態で、特に肥満や糖尿病の人に多く見られます。
ウイルス性肝炎
B型肝炎やC型肝炎ウイルスの感染により、肝臓が慢性的に炎症を起こし、肝機能障害を引き起こします。
薬剤性肝障害
一部の薬剤やサプリメントが肝臓にダメージを与えることで、薬剤性肝障害を引き起こすことがあります。
自己免疫性肝炎
免疫系が誤って自分の肝臓を攻撃する自己免疫疾患であり、稀な原因ですが、肝機能障害を引き起こすことがあります。
肝機能障害を指摘された際に有用な検査
肝機能障害の状態や原因を調べるために、以下の検査が一般的に行われます。
これらの検査によって肝臓の状態を正確に評価し、治療方針を決定します。
血液検査
肝機能を評価する基本的な検査です。
ALT、AST、γ-GTPなどの肝酵素の数値を測定し、肝臓の炎症や障害の有無を確認します。
また、アルブミンやビリルビンの数値も肝臓の状態を反映します。
腹部超音波検査
肝臓の大きさや形、脂肪肝や肝硬変、腫瘍の有無を確認するために用いられる画像検査です。
CT検査やMRI検査
肝臓内部の詳細な状態を調べるための画像検査で、腫瘍や肝硬変、腹水などをより正確に確認できます。
肝生検
肝臓の組織を少量採取し、詳しく調べる検査です。
肝炎や肝硬変の進行度を確認するために必要に応じて行われます。
まとめ
肝機能障害は、初期には症状が現れないことが多く、健康診断で指摘されることがよくあります。
アルコールの過剰摂取や脂肪肝が主な原因ですが、まれにウイルス性肝炎や自己免疫性疾患などが原因となることもあります。
肝機能障害が長期間続くと、肝硬変や肝臓癌に発展する可能性もあるため、原因をしっかり調べ、治療することが重要です。