メニュー

帯状疱疹について

帯状疱疹とは

帯状疱疹(たいじょうほうしん)は、多くのこどもがかかる水ぼうそうの原因ウイルス(水痘(すいとう)・帯状疱疹ウイルス)によって引き起こされる感染症です。水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜伏し続けます。大人になって免疫力が低下した際にウイルスが再活性化し、帯状疱疹として現れることがあります。日本人成人の90%以上がこのウイルスが潜んでいると言われています。

帯状疱疹は、主に神経に沿って皮膚に痛みや発疹が現れるのが特徴です。年齢を問わず発症しますが、特に50歳以上の方や免疫力が低下した方に多く見られます。ここでは、帯状疱疹の症状、原因、合併症、治療、そして予防について詳しく説明します。

帯状疱疹の症状

帯状疱疹の主な症状は、以下の通りです。

1.痛み

帯状疱疹の初期症状として、神経に沿った強い痛みやヒリヒリした感覚が現れます。この痛みは、皮膚に発疹が出る前に現れることが多いです。

2.発疹と水ぶくれ

痛みが始まってから数日後、体の片側に帯状の赤い発疹が現れ、その上に水ぶくれができるのが特徴です。発疹は神経に沿って帯状に広がるため、体の一部分に集中して現れます。

3.かさぶた

水ぶくれは1~2週間でやぶれてかさぶたになり、治癒に向かいます。発疹が治った後も痛みが残ることがあり、これを「帯状疱疹後神経痛(たいじょうほうしんごしんけいつう)」と呼びます。

4.倦怠感や発熱

帯状疱疹に伴い、体がだるく感じたり、微熱が出ることもあります。

帯状疱疹の原因

帯状疱疹の原因は、水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化です。子供の頃に水ぼうそうにかかると、ウイルスは一旦治癒した後も体内の神経節に潜伏し続けます。通常は免疫力がウイルスの再活性化を防いでいますが、以下の要因によって免疫力が低下するとウイルスが再び活動を開始し、帯状疱疹を引き起こします。

加齢

特に50歳以上になると免疫力が低下しやすく、帯状疱疹の発症リスクが高まります。

ストレス

強いストレスや疲労は、免疫力を弱め、帯状疱疹の引き金になることがあります。

病気や治療

がんの治療や免疫抑制剤の使用、糖尿病やHIVなど、免疫機構が弱まる病気にかかっている場合も、帯状疱疹の発症リスクが高まります。

帯状疱疹の合併症

帯状疱疹は、放置しておくと合併症を引き起こす可能性があります。主な合併症には次のようなものがあります。

1.帯状疱疹後神経痛

発疹が治まった後も痛みが残ることがあり、特に高齢者に多く見られます。
この痛みは数か月、時には数年以上続くこともあり、日常生活に支障をきたす場合もあります。

2.視力低下や失明

顔や目の周辺に帯状疱疹が発生すると、視力低下や失明のリスクがあります。早期の治療が重要です。

3.聴覚障害や顔面麻痺

耳の周りに発疹が出た場合、聴力に障害が出たり、顔面麻痺が発生することがあります。

帯状疱疹の治療

帯状疱疹は、早期に治療を開始することで、症状の軽減や合併症の予防が可能です。治療法は主に以下の通りです。

1.抗ウイルス薬

帯状疱疹の治療には、抗ウイルス薬が使われます。発疹や痛みを早く軽減させ、帯状疱疹後神経痛の発症リスクを下げることができます。

2.鎮痛剤

痛みが強い場合には、鎮痛剤が処方されます。痛みが長引く場合には、神経痛に対する薬や、湿布・クリームも用いられます。

帯状疱疹の予防法

帯状疱疹の予防には、規則正しい生活や十分な睡眠、バランスの取れた食事など、健康を維持することが重要です。さらに、50歳以上の方にはワクチンによる予防が推奨されています。当院では、2種類の帯状疱疹ワクチン(ビゲン、シングリックス)の接種を行っています。以下、それぞれのワクチンの特徴を説明します。

ビゲン(生ワクチン)

ビゲンは生ワクチンです。生ワクチンとは、弱毒化されたウイルスや細菌を成分として作られたワクチンで、1回の接種で予防効果が得られます。有効性は50〜60%、効果の持続期間は5年程度です。生ワクチンであるため、免疫機能が低下している状態や、免疫機能を抑制させる薬(ステロイド、免疫抑制剤)を内服している方には投与できません。

シングリックス(不活化ワクチン)

シングリックスは不活化ワクチンです。不活化ワクチンとは、ウイルスや細菌を化学的に処理して感染力を失わせた成分で作られたワクチンです。2回の接種で予防効果が得られ、50歳以上で97%以上、70歳以上でも89%以上という高い予防効果が確認されています。効果の持続期間は少なくとも9年間で、不活化ワクチンであるため、免疫機能が低下している方でも安全に接種できます。

ワクチンの効果と副反応

ワクチンの有効性とは、「ワクチンを接種することで、接種しなかった場合に比べて病気になるリスクがどれだけ減るか」を示す指標です。例えば、シングリックスの臨床試験では、50歳以上の方において、ワクチンを接種した方の発症率が0.08%、プラセボ(偽薬)を接種した方の発症率が2.83%でした。この結果から、シングリックスの有効性は約97%と計算されます。
どちらのワクチンにも以下のような副反応が見られることがあります。

  • 一般的な副反応: 注射部位の痛み、赤み、腫れ、筋肉痛、頭痛、疲労感などが見られることがありますが、ほとんどの場合、2〜3日で改善します。
  • まれな副反応: ごく稀に、接種直後にアナフィラキシーショック(重篤なアレルギー反応)が発生することがあります。

どちらのワクチンがを打つべきか

それぞれのワクチンにはメリット・デメリットがあり、患者様の状況に応じた選択が重要です。以下の比較表を参考にしてお選びください。

項目 シングリックス(不活化ワクチン) ビゲン(生ワクチン)
接種回数 2回(60日間あけて) 1回
有効性 50歳以上で97%以上 50〜60%
持続期間 少なくとも9年  約5年
免疫機能が低下している方の接種 可能  不可
費用  22,000円/回(税込) 8,000円/回(税込)

ビゲンの特徴

メリット
  • 1回の接種で終了する
  • 費用が安価(8,000円)
デメリット
  • 予防効果がシングリックスに比べて低い
  • 生ワクチンであるため、免疫機能が極端に低下している方は接種できない

シングリックスの特徴

メリット
  • 予防効果が非常に高い(50歳以上で97%以上)
  • 不活化ワクチンであるため、免疫機能が低下している方でも接種可能
デメリット
  • 2回の接種が必要
  • 費用が高額(2回で44,000円)

    これらのことを考慮すると、
     ▶︎費用を抑えたい方 ビゲン
     ▶︎しっかりとした予防効果を得たい方や免疫機能が低下している方 シングリックス
    をお勧めします。

    なお、川崎市では公費助成はありません(2024年10月現在)。

まとめ

帯状疱疹は、免疫力の低下によって発症しやすくなる病気です。
痛みや発疹などの症状に加え、合併症のリスクもあるため、発症予防、早期の治療が重要です。
特に、シングレックスやビゲンなどのワクチン接種の予防効果は高く、50歳以上の方にはお勧めしております。

ワクチンを希望される方は当院にお問い合わせください。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME