膵癌早期発見のための取り組み
膵癌早期発見の重要性
膵癌は、毎年新しく診断される患者数や、死亡する人の数が増えている病気です。
国立がん研究センターの統計によると、37人に1人が膵癌にかかるとされています。また、2020年には、37,677人が膵癌で亡くなられており、これは日本全体の癌による死亡数で4番目に多いものです。
膵癌は予後が不良とされる癌の一つです。
膵癌の5年生存率(5年後に生存している確率)はわずか8.5%で、他の癌の5年生存率64.1%を大きく下回り、調査対象の癌の中で最も低い生存率となっています。
膵癌の予後が悪い理由の一つは、早期発見が難しいことです。
統計によれば、膵癌の半数以上は進行した段階で診断されています。
進行したステージⅢの膵癌の5年生存率は6%、ステージⅣでは1%と非常に低い数値です。
しかし、ステージⅠの早期に発見された場合の5年生存率は約60%であり、さらに癌の大きさが1cm以下で見つかった場合には、5年生存率が80%以上という報告もあります。
つまり、膵癌ではできるだけ早期に発見することが非常に重要です。
当院での取り組み
当院では、膵癌をより早期に発見するため、川崎市立川崎病院の「膵癌早期診断プロジェクト」に協力しています。
このプロジェクトは、地域の方々の膵癌を早期に発見するために、大きな病院と地域のクリニックが連携して行う取り組みです。
このプロジェクトでは、まずクリニックで膵癌のリスクが高い方を見極め、スクリーニング検査(採血、腹部超音波検査)を行います。
その結果、精密検査が必要と判断した場合には、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像)、EUS(超音波内視鏡)などのさらなる検査を大病院で行い、膵癌の早期発見に努めます。
異常が見つからなかった場合でも、検査結果やリスクに応じて、継続的にフォローアップ(経過観察)を行っていきます。
当院の医師は、大病院で様々な膵疾患の診療経験を積み、さらに膵癌の早期発見プロジェクトにも関わってきました。
現在も、川崎市立川崎病院にて膵疾患に対して超音波内視鏡検査を実施しています。
これまでの経験を基に、膵癌のリスクを的確に判断し、必要な検査や適切なフォローアップを行います。
膵癌のリスクが高いとされる方
以下の方々は、膵癌のリスクが高いとされています。
- 腹痛、腹部の張り、食欲不振、背中の痛み、体重減少、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる症状)などの症状がある方
- 最近、新しく糖尿病を発症した方
- 糖尿病が悪化している方
- 慢性膵炎と診断されたことがある方
- 腫瘍マーカーCA19-9が高い方
- アミラーゼという酵素の値が高い方
- 膵嚢胞(すいのうほう)や膵管拡張、膵腫瘤と診断されたことがある方
- 近親者に膵癌の患者がいる方
- 飲酒量が多い方(1日3合以上)
診療・検査の流れ
- 予約・事前問診
ネットで診察予約ができます。
事前にネット問診にお答えいただくことで、診察がスムーズになります。 - 診察
診察を行います。問診結果もあわせて、必要な採血項目や検査などを判断します。 - 採血および腹部超音波検査
当院で実施します。 - MRI検査
川崎市立川崎病院で実施します。
当院でMRIの予約を取り、スムーズに検査を受けていただけるよう調整いたします。 - 精密検査
採血、超音波、MRIの結果を基に、さらに詳しい検査が必要と判断した場合には、CTや超音波内視鏡検査(EUS)を川崎市立川崎病院で行います。 - 治療方針の決定
精密検査の結果に基づき、治療が必要かどうかを判断します。
現時点で治療が必要でない場合でも、経過観察の必要性、その方法や検査の間隔を決定します。 - 経過観察
基本的には、当院で経過観察を行います。
何らかの変化が見られた場合は、当院から川崎市立川崎病院に再度ご紹介いたします。
膵癌は早期発見が非常に難しい疾患ですが、リスクのある方は定期的な検査を行うことで早期発見の可能性が高まります。
膵癌のリスクが気になる方は、お気軽に当院にご相談ください。
ネット予約もできますので、ぜひご利用ください。