“なかなか治らない咳”の正体|① 咳喘息ってどんな病気?
はじめに
「風邪でもないのに咳が続く」
「早朝や夜中に咳がひどくなってつらい」
「風邪は治ったはずなのに、咳だけなかなか止まらない」
こんな経験をしたことはありませんか?
咳が長引く背景には、さまざまな病気が隠れていることがあります。
今回から数回に分けて、「なかなか治らない咳」の原因となる代表的な病気について解説していきます。
第1回は、「咳喘息(せきぜんそく)」についてです。
咳喘息とは?
咳喘息とは、長引く乾いた咳(痰が絡まない咳)を主な症状とする病気です。
「喘息」という名前がついていますが、通常の喘息のような「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音は目立ちません。
長引く咳の原因として、もっとも多いのがこの咳喘息とされています。
咳喘息は、次のようなきっかけで症状が悪化しやすいことが知られています。
風邪(上気道炎)
冷たい空気
運動
喫煙(受動喫煙も含む)
雨の日や湿度の高い日
花粉や黄砂が多い時期
咳喘息の症状・特徴
咳喘息では、以下のような症状がみられます。
乾いた咳(痰の絡まない咳)が3週間以上続く
夜間や早朝に咳が強くなる
運動後や冷たい空気を吸ったときに悪化する
天気が悪い日や季節の変わり目に咳が出やすい
痰は絡まないことが多い
風邪をきっかけに咳だけが長引きやすい
また、以下のような体質・背景がある方は、咳喘息を発症しやすい傾向があるとされています。
アレルギー体質がある
家族に喘息の持病がある
これらの症状や特徴に当てはまる場合は、咳喘息の可能性を考える必要があります。
なぜ咳が続くの?
咳喘息では、空気の通り道(気道)に軽い炎症が起こり、わずかな刺激でも咳が出やすい状態になります。
炎症によって咳を引き起こす神経が敏感になり、普段なら問題にならない程度の温度変化や空気の刺激でも咳が続いてしまいます。
また、気道の筋肉(平滑筋)が軽く収縮することで、さらに神経が刺激され、咳が起こりやすくなると考えられています。
咳喘息を放置してしまうと
咳喘息は、治療をしなくても時間の経過とともに自然に改善することがあります。
そのため、「風邪の後や季節の変わり目に咳が長引くことはあるけれど、いつの間にか治っていた」という方も少なくありません。
しかし、咳喘息のある方の約3割が、本格的な「気管支喘息」へ進行するといわれています。
気管支喘息に進行すると、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という音が聞こえる呼吸(喘鳴(ぜんめい))が出現し、
症状が重くなると呼吸が苦しくなり、入院治療が必要になることもあります。
こうしたリスクを防ぐためにも、咳が長引いている場合は放置せず、できるだけ早く医療機関を受診することが大切です。
診断と治療について
診断
咳喘息の診断は、実は簡単ではありません。
通常の喘息で有用な「呼吸機能検査」や「気道過敏性検査」などが、正常か軽度の異常にとどまることが多いためです。
そのため、
- 詳しい問診
- 診察
- 血液検査
- 胸部レントゲン・CT検査
などで、咳の原因となるほかの病気を除外しながら診断を進めていきます。
治療
治療の中心は、
- 吸入ステロイド薬(気道の炎症を抑える)
- 気管支拡張薬(気道を広げる)
になります。
これらを使用すると、多くの場合、比較的早く咳が改善します。
特に吸入薬がよく効く場合は、咳喘息の可能性がより高くなります。
治療のポイントは、咳が落ち着いてからも一定期間治療を続けることです。
症状が良くなったからといってすぐに薬をやめてしまうと、再発することがあります。
また、咳喘息から本格的な喘息に進行するリスクもあるため、自己判断で治療を中断しないことが大切です。
まとめ
夜間や早朝に激しい咳が続くとき、
それは「咳喘息」のサインかもしれません。
放置すると悪化したり、気管支喘息に進行したりすることもあるため、
咳が長引くときは、医療機関を受診しましょう。
川崎区で内科・消化器内科をお探しの方へ
当院では、長引く咳などの一般内科の症状にも幅広く対応しており、丁寧な診療を心がけています。
また、腹痛や胃腸の不調など、消化器に関するお悩みについては、消化器内科の専門的な視点から診察を行っています。
体調のことで気になることがありましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
ご予約はネットからも受け付けています。
▶︎ [こちらからご予約いただけます。]