食後の胃痛、原因は『胆石』だった!?見落とされがちな胆石発作とその関連病気
「食後にみぞおちのあたりが痛い」
「胃薬を飲んでもなかなか良くならない」
「右上腹部にズキズキする痛みがある」
このような症状で、「胃の病気かな?」と感じて受診される方は少なくありません。
以前、当院のブログでは「食後の胃の痛み」の原因として、胃潰瘍についてご紹介しました。
(▶️ 食後に胃がキリキリ痛む…それ、胃潰瘍かも? 知っておきたい症状と原因)
しかし、検査を進めてみると、実は『胆石(たんせき)』が原因だったというケースもあります。
そこで今回は、見落とされがちな胆石による痛み(胆石発作)と、胆石が原因で起こる関連疾患について、わかりやすくご紹介します。
胆石症とは?
胆石症 とは、肝臓の下にある「胆のう」という袋状の臓器の中に、石(胆石) ができる病気です。
胆のうは、肝臓で作られた消化液「胆汁(たんじゅう)」をため、食事の際に腸へ送り出す働きをしています。
胆石は、胆汁に含まれるコレステロールやカルシウムなどが固まってでき、無症状のまま見つかることも多いですが、ときに強い痛みや炎症を引き起こします。
胆石によって起こる主な病気
胆石が悪さをすると、次のような病気を引き起こすことがあります。
① 胆石発作(たんせきほっさ)・急性胆のう炎
胆石が胆のうの出口(胆のう頸部)につまることで起こります。
胆汁の流れが止まり、胆のうが腫れて強い痛みが生じます。
一時的につまっただけで自然に解除されれば、痛みは数十分ほどでおさまりますが、つまったままの状態が続くと、急性胆のう炎へ進行します。
【症状】
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食後のみぞおちや右上腹部の強い痛み
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吐き気・嘔吐
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発熱
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深呼吸すると右上腹部が痛む
⚠️ 「胃が痛い」と思って受診される方の中に、実はこの発作が原因だったケースがよくあります。
特に、胆のう炎に進行している場合は早急な治療が必要です。
食後に数時間続く右上腹部の痛みがある場合は、医療機関を受診してください。
② 急性胆管炎(きゅうせいたんかんえん)
胆石が胆のうから飛び出して胆管につまると、胆汁の流れが止まり、胆管内で感染や炎症が起こります。
この状態を急性胆管炎と呼びます。
【症状】
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腹痛 (胆石発作、胆嚢炎よりは軽い)
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高熱
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黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 濃い色の尿が出る
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吐き気・寒気・倦怠感
⚠️ 命に関わることもある重症感染症で、緊急処置が必要です。
発熱と同時に、黄疸や濃い色の尿がでる時は医療機関をすぐ受診してください。
③ 急性膵炎(きゅうせいすいえん)
胆石が胆管を通って膵管(すいかん)の出口付近につまると、胆管炎だけでなく膵炎も引き起こすことがあります。
【症状】
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上腹部の強い痛み
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吐き気・嘔吐
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発熱
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背中まで響くような痛み
⚠️ 急性膵炎も、重症化すると命に関わる病気です。早期の診断と治療が必要です。
どうやって診断するの?
胆のうの中にある胆石は、腹部超音波検査(エコー検査)で発見できます。
一方、胆石が胆管に移動している場合は、エコー検査だけでは見つかりにくいことがあります。
その場合には、CT検査やMRI検査を追加して行い、胆のうや胆管の状態を詳しく調べます。
胆石症の治療
胆石症の治療方針は、症状の有無や胆石の場所によって異なります。
✅ 無症状の場合
→ 基本的に経過観察。
ただし、胆管に結石がある場合は無症状でも治療が必要です(内視鏡治療)。✅ 症状がある場合(発作・炎症)
→ 胆のう摘出手術が基本。✅ 急性胆管炎・膵炎を起こした場合
→ 内視鏡での緊急処置が必要なことがあります。
さらに、胆のう内に無数の結石がある場合(充満結石)は、胆のう癌のリスクを考えて、症状がなくても手術が勧められることがあります。
まとめ
「食後に胃のあたりが痛い」「右上腹部がズキズキする」
そんな症状がある場合、胃ではなく「胆石症」 が原因かもしれません。
胆石症は、症状がない場合は経過観察で問題ないことが多いですが、
症状がある場合や炎症を起こした場合には、重症化することもあります。
気になる症状がある方は、早めの受診をおすすめします。
当院では、腹部超音波検査 を行い、胆石症の早期発見に努めています。
「胃の痛みがなかなか良くならない」「食後の腹痛が気になる」という方は、お気軽にご相談ください。
▶ 当院で行っている腹部超音波検査について、詳しくはこちら