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胃カメラでよく見つかる“食道裂孔ヘルニア”ってなに?|原因・症状・治療法をわかりやすく解説

[2025.07.06]

「食道裂孔ヘルニア」とは?

食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニアという病名を聞いたことはありますか?

あまり聞き慣れない名前かもしれませんが、胃カメラ(内視鏡検査)やバリウム検査を受けた際によく見つかる、比較的ありふれた異常のひとつです。

実際、胃カメラを受けたことがある方の中には、「食道裂孔ヘルニア」と指摘された経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

ただ、名前を聞いても

「これって悪いものなの?」
「放っておいて大丈夫なの?」
「そもそもどんな状態なの?」

と疑問に思われる方も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな食道裂孔ヘルニアについて、できるだけわかりやすく、丁寧に解説していきます。

 

そもそも「ヘルニア」ってどういう状態?

「ヘルニア」とは、臓器や組織の一部が本来あるべき場所から飛び出してしまう状態を指します。

たとえばヘルニアがつく病気は、

背骨の椎間板が飛び出す「椎間板ヘルニア」

 

足の付け根に腸が出てくる「そけいヘルニア(脱腸)」

 

などが有名です。

「食道裂孔ヘルニア」とは ー 何がどこに飛び出している?

私たちの体の中では、「胸(胸腔:きょうくう)」と「おなか(腹腔:ふくくう)」の間に、横隔膜(おうかくまく)という大きな膜があります。

食道は横隔膜の上側に位置し、胃はその下側に位置しています。

この食道と胃は、横隔膜にある「食道裂孔(しょくどうれっこう)」という穴を通ってつながっています。

しかし、加齢肥満腹圧の上昇(便秘・慢性的な咳・妊娠など)によって、このすき間がゆるむと…

👉 胃の一部が横隔膜を越えて、胸の中に入り込んでしまう状態になります。
これが 「食道裂孔ヘルニア」 です。

 

食道裂孔ヘルニアの分類

食道裂孔ヘルニアは、胃がどのように飛び出しているかによって、主に次の3つのタイプに分類されます。

◉ 滑脱(かつだつ)型

最も一般的なタイプです。
食道と胃のつなぎ目(食道胃接合部)がそのまま横隔膜より上にずれて、胸腔内に入り込んでいる状態です。

◉ 傍食道(ぼうしょくどう)型

食道と胃のつなぎ目は本来の位置にありますが、
胃の一部が食道の横から裂孔を通って胸腔に飛び出しているタイプです。

◉ 混合型

滑脱型と傍食道型の両方の特徴をあわせ持つタイプです。
食道と胃のつなぎ目も、胃の一部も、胸腔に入り込んでいます。

 

なお、傍食道型や混合型はまれであり、一般的に「食道裂孔ヘルニア」と診断された場合は、滑脱型を指していることがほとんどです。

食道裂孔ヘルニアの症状

食道裂孔ヘルニアそのものには、自覚症状がないことがほとんどです。

ただし、胃が本来よりも高い位置にずれることで、胃と食道の境目にある“逆流を防ぐ弁の働き”が弱まり、胃酸が逆流しやすくなります。

その結果、逆流性食道炎を引き起こす原因となるのです。

 

胃酸の逆流による症状は

✅ 胸やけ
✅ 酸っぱい液体がこみ上げてくる(呑酸)
✅ 食後のつかえ感、胃もたれ
✅ 横になるとムカムカする
✅ のどの違和感、咳、声がれ

などがあります。

特に、「食後すぐに横になると症状が出やすい」のが特徴です。

診断方法

内視鏡検査(胃カメラ)やバリウム検査(上部消化管造影)で診断することができます。

🔍 胃カメラ
胃や食道の状態、炎症の有無などを直接観察できます。

📷 バリウム検査
胃や食道の位置関係、形の変化を含めて全体像を把握するのに役立ちます。

当院では、内視鏡専門医が担当し、鎮静剤を使った苦痛の少ない胃カメラ検査を行っています。
必要に応じて、他の検査と組み合わせて、より詳しく評価します。

治療法

症状の有無や程度によって、治療方針が異なります。

✔ 無症状の場合

→ 基本的に経過観察です。

✔ 胃酸の逆流や胸やけなどの症状がある場合

逆流性食道炎に対する治療を行います。

  • 胃酸の分泌を抑える薬

  • 胃の動きを整える薬

  • 食事・生活習慣の見直し

まれに、ヘルニアが非常に大きく、胃がねじれるなどの合併症を起こす場合には、外科的な手術が検討されることもあります。

日常生活での注意点

食道裂孔ヘルニアのある方は、胃酸が逆流しやすい状態にあります。

胸やけなどの症状がある場合は、逆流を防ぐために、以下のような生活習慣の見直しが効果的です。

  • 食後すぐに横にならない
     → 食後2~3時間は座った姿勢で過ごすのが理想です。

  • 就寝時は上半身をやや高くする
     → 枕を高めにしたり、ベッドの頭側を少し上げると、逆流を防ぎやすくなります。

  • 脂っこい食事や刺激物を控える
     → 唐辛子、揚げ物、チョコレート、アルコールなどは逆流を悪化させることがあります。

  • ベルトなどでお腹を強く締めつけない
     → 腹圧の上昇を避けることが大切です。

  • 適正な体重を保つ
     → 肥満は腹圧を高め、逆流を助長する要因になります。

まとめ

「胸やけが長引いている」
「のどの違和感や咳がなかなか治らない」
「胃薬を飲んでもすっきりしない」

こうした症状がある方で、以前に食道裂孔ヘルニアを指摘されたことがある場合、その原因として胃酸の逆流(逆流性食道炎)が関係している可能性があります。

胃酸の逆流による不快な症状は、生活習慣の改善に加えて、薬による治療で大きく改善が期待できます。

川崎区で胸やけや逆流性食道炎の診療をご希望の方は、ぜひ当院までご相談ください。内視鏡専門医が在籍し、苦痛の少ない胃カメラで正確な診断と丁寧な対応を心がけています。

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