ポリープは放置して大丈夫?内視鏡での発見事例 ②
以前のブログ「ポリープは放置して大丈夫?内視鏡での発見事例」では、大腸ポリープについてご紹介しました。
今回はその続編として、実際の診療で見つかった「胃ポリープ」を題材にお話しします。(個人情報は保護のため一部改変しています)
胃ポリープと聞くと、「がんになるのでは?」と心配される方も少なくありません。今回は、検査でどのように発見され、どのように対応するのかをご紹介します。
前回の内容
- ポリープは粘膜の表面に発生する隆起物(イボのようなもの)の総称である
- ポリープは大まかに下図のように分類される
- ポリープと言われる時は良性腫瘍や非腫瘍性ポリープなどの健康に直接影響しないものが多い
- 良性腫瘍の中には時間が経つにつれて癌化するものもあり、その場合は定期的な検査や治療が必要になる
<ポリープの大まかな分類>
胃ポリープ①
症例: 40代の方。胃の不快感があるため、胃カメラ検査を実施しました。胃の内部にポリープが複数発見されました。
対応: 内視鏡の所見から胃底腺ポリープ(非腫瘍性ポリープ)と診断しました。良性であり、治療や精査の必要性はないと判断しました。定期的ながん検診を提案しました。
胃底腺ポリープとは
- 胃に発生する代表的な非腫瘍性ポリープ。
- 正常な胃の細胞が増殖してできるもので、基本的に病的なものではない
- むしろ、炎症のない健康な胃に多く見られるのが特徴
- 薬剤(胃酸分泌抑制薬)を内服しているとできやすくなる。
胃カメラ検査後に「ポリープがありますが、問題ないポリープです」と説明される場合、この胃底腺ポリープのことが多いです。
胃底線ポリープは「胃酸分泌抑制薬」との関連も指摘されており、あまりにもポリープが多発する時は「胃酸分泌抑制薬」の変更や中止などを検討していくこともあります。
胃ポリープ②
症例: 50代の方。最近食欲が落ちてきて、胃もたれもするということで胃カメラ検査を実施。胃の内部にポリープを発見されました。
対応: 内視鏡の所見から過形成性ポリープ(非腫瘍性ポリープ)と診断しました。過形成性ポリープ自体は基本的には切除の必要はありません。
しかし、ヘリコバクターピロリ菌の感染が疑われるため、検査を実施。
ヘリコバクターピロリ菌に感染していることが分かり、除菌治療を行いました。
今後は胃がんの早期発見のため、1-2年おきの胃カメラ検査を勧めました。
過形成性ポリープとは
- 胃底線ポリープと同じく、胃に発生する代表的な非腫瘍性ポリープの一つ
- 慢性的な炎症が原因で発生することがある。
- 基本的に治療の必要はないが、ポリープが大きくなったり、出血を伴う場合は切除を検討することもある
- 過形成性ポリープの発生には、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)の感染が関係していることが多い。
ヘリコバクターピロリ菌とは
- 胃に感染し、慢性的な炎症(胃炎)を引き起こす原因となる細菌
- 多くの場合、小児期に感染するとされており、薬による除菌治療を行わない限り、長期間感染が持続することが一般的
- 胃がんのほとんどは、ピロリ菌に感染した胃から発生する
- ピロリ菌を除菌することで、胃がんのリスクを大幅に低下させることができる
今回のように非腫瘍性ポリープ自体は直接的に健康に関わらないものの、そのポリープができる原因として病気が隠れている場合があり、その病気の治療が必要になることもあります。
まとめ
今回ご紹介したのは、内視鏡検査でよく見つかる代表的な胃ポリープ(胃底腺ポリープ・過形成性ポリープ)についてでした。
どちらも多くの場合は良性で、放置しても大きな問題にはならないことが多いですが、ポリープの種類や背景にある原因(ピロリ菌感染など)によっては、がんのリスクに関わることもあります。
そのため、胃ポリープを指摘された場合には「治療が必要か」「経過観察でよいか」を正しく判断することが大切です。
当院では、内視鏡の所見や病理検査の結果を総合的に評価し、必要に応じてピロリ菌検査や除菌治療、定期的な胃カメラ検査を提案しています。
健康診断や人間ドックで「胃ポリープ」と言われて不安な方、また胃の不快感・胃もたれが続く方は、ぜひ一度ご相談ください。
川崎市川崎区の花田内科胃腸科医院では、地域の皆さまの健康を守るため、苦痛が少なく、安心で丁寧な内視鏡検査を行っています。